塊根植物の休眠|夏型・冬型の時期と合図、休眠中の水と置き場所、枯れとの見分け方

塊根植物の休眠は、乾季を幹や根の水でやり過ごすための自然な眠りです。夏型は秋に葉を落として冬に休み、冬型は初夏に葉を落として夏に休みます。休眠に入ったら水を断つか少量にとどめ、芽が動いてから少しずつ戻します。幹が硬く、重さが保たれていれば、葉がなくても株は生きています。
塊根植物(コーデックス)の休眠は、乾いた季節を幹や根に蓄えた水でしのぐための眠りです。葉が黄ばんで落ちると枯れたように見えますが、幹が硬く重さが保たれていれば、株は静かに次の生育期を待っています。この記事では、休眠とは何かを先に、夏型と冬型で時期が逆になること、休眠に入る合図、休眠中の水と置き場所、休眠明けの見極め、休眠と枯れの見分け方を順にまとめました。塊根植物というくくり全体の考え方は塊根植物(コーデックス)とはにあります。
休眠とは|乾季をやり過ごすための眠り
塊根植物の多くは、マダガスカルや南部アフリカ、メキシコなど、雨季と乾季のはっきりした土地の出身です。雨の降る季節に葉を広げて光合成をし、つくった養分と水を太った幹や根にためておきます。雨が止むと葉を落とし、水を使う量を最小限にして、ためたもので乾季を越します。これが休眠です。
日本の棚に置いても、株はこのリズムを覚えています。気温が下がる、昼が短くなる、暑さが極まるといった変化を合図に、自生地の乾季にあたる季節が来ると葉を落とします。休眠は弱ったから起きるのではなく、次の生育期に備えて体を守るための仕組みです。
そのため、休眠中にやるべきことは多くありません。根も動きを止めているので、水も肥料も使われません。動いていない株に生育期と同じ世話を続けることが、休眠期のいちばんのつまずきになります。
夏型と冬型|休む季節は種類で逆になる
塊根植物は、日本のどの季節に育つかで「夏型」と「冬型」に分かれます。夏型は春から秋に育って冬に休み、冬型は秋から春に育って夏に休みます。休む時期がちょうど反対になるので、まず手元の株がどちらかを知っておくと迷いません。
| 型 | おもな種類 | 生育期 | 休眠期 | 休眠の入り口 |
|---|---|---|---|---|
| 夏型 | パキポディウム、アデニウム、パキプス、キフォステンマ、ボスウェリア | 4〜10月 | 11〜3月ごろ | 秋、最低気温が15℃を切るころ |
| 夏型(芽出しが遅い) | ステファニア、火星人(フォッケア) | 5〜10月 | 11〜4月ごろ | 秋、葉が黄ばんだら |
| 冬型 | 亀甲竜、チレコドン、オトンナ、塊根ペラルゴニウム | 10〜5月 | 6〜9月ごろ | 初夏、暑さが増すころ |
流通している塊根植物の大半は夏型です。品種名が分からない株は、いまの季節に葉があるかどうかで見分けると外れません。秋に葉が黄ばみはじめれば夏型、同じころに塊根の頭から芽や蔓が伸びてくれば冬型です。
休眠の期間は暦どおりにはならず、置き場所の温度で前後します。冬も暖かい部屋に置いた夏型は葉を残したまま浅く休み、寒い部屋では早めに落葉してしっかり休みます。冬型も、涼しい場所なら6月まで葉を保ち、暑い年は5月のうちに休みに入ります。冬型の夏の過ごし方は亀甲竜の休眠期で詳しく扱っています。
休眠に入る合図|葉の色と落ち方を見る
休眠への入り方はゆるやかです。いきなり全部の葉が落ちるのではなく、数週間かけて段階を踏みます。
下の葉や外側の葉から黄ばみ、少しずつ落ちていくのが休眠入りの合図です。(AIで生成したイメージです)
- 葉が黄ばむ:古い葉や外側の葉から色が抜け、黄色や赤みを帯びます。夏型なら10〜11月、冬型なら5〜6月に起きます。
- 新しい葉が出なくなる:成長点の動きが止まり、幹の先に新しい芽が見えなくなります。
- 土の乾きが遅くなる:同じ水の量でも、前より乾くまでに日数がかかります。根の吸う力が落ちてきた合図です。
- 葉がまとまって落ちる:最後は軽く触れただけで葉が外れます。落ちた跡が乾いてふさがっていれば、自然な落葉です。
このどれかが見えはじめたら、水の間隔をあけていきます。葉が黄ばみきるまで生育期と同じ量を与えると、吸われない水で鉢の中が長く湿ります。反対に、葉がまだ緑のうちに急に断水すると、株は蓄えを早く使ってしまいます。葉の色に合わせて、2〜3週間かけて水を減らすのがいちばん穏やかな入り方です。
なお、真夏や梅雨に夏型の葉が急に落ちる、生育期の途中で黄ばむといった場合は、休眠ではなく水切れや根の傷みのことがあります。季節が合っているかを先に確かめます。
休眠中の水と置き場所
葉を落とした株は、ほとんど水を使いません。休眠中の世話は、乾かしておくことと温度を守ることの2つに尽きます。
水は、断水か月1回ほどの少量
夏型の冬の休眠は、置き場所の温度で水の扱いを決めます。
- 10〜15℃の部屋で落葉している:断水して、幹だけで春を待ちます。乾かしておくほうが、低い温度にも強くなります。
- 15℃以上を保てて、葉が残っている:月に1〜2回、暖かい日の午前に、土の表面が湿る程度を与えます。
- 小さな実生苗:乾かしきると細い根が枯れてしまうので、月1回ほどの少量を続けます。
冬型の夏の休眠も考え方は同じで、断水か、月1回ほど涼しい日の夕方に表面を湿らせる程度にとどめます。どちらの型でも、休眠中に幹へ浅いしわが寄るのは蓄えを使っているだけで、正常な範囲です。季節ごとの頻度は塊根植物の水やりにまとめています。
置き場所は、温度を守って、明るさはほどほどに
夏型の冬の休眠では、夜にいちばん下がったときの温度が肝心です。種類によって違いますが、多くは10℃前後が目安になります。日当たりは生育期ほど必要ありませんが、真っ暗な場所より、窓から少し離れた明るい場所のほうが芽出しが揃います。種類ごとの最低温度と、室内に取り込む時期は塊根植物の冬越しで詳しく扱っています。
冬型の夏の休眠では、暑さと蒸れを避けることが中心です。雨の当たらない、風の抜ける半日陰に置き、鉢が直射日光で熱くならないようにします。
休眠中は、植え替えや強い剪定、肥料も控えます。根が止まっているあいだに傷をつけても、ふさがるのに時間がかかります。植え替えのよい時期は塊根植物の植え替え時期にまとめています。
休眠明けの見極め|芽を見てから水を戻す
休眠明けは、水で起こすのではなく、株が自分から動き出すのを待つのが基本です。
幹の先や塊根の頭に新芽がのぞいたら、休眠明けの合図です。(AIで生成したイメージです)
夏型の目覚めは、最低気温が15℃を超えて安定するころ、関東の平野部なら4〜5月です。冬型は、夜が涼しくなる9〜10月に、塊根の頭から芽や蔓が出てきます。合図は次のようなものです。
- 幹の先や枝の付け根、塊根の頭に、小さな緑の芽が見える
- 幹の肌に張りが戻り、色が少し明るくなる
- 冬型では、塊根の上から細い蔓が立ち上がる
芽が見えたら、まず土の表面が湿る程度を10日に1回ほどから始めます。根はまだ目覚めかけなので、いきなりたっぷり与えると吸えない水で土だけが湿り、そこから傷みます。葉が数枚開いたら、量と回数を生育期のものへ戻していきます。
目覚めの時期は株ごとに1か月ほどずれるのは珍しくありません。ステファニアや火星人のように、ほかより1〜2か月遅れる種類もあります。幹が硬く重さが保たれているうちは、焦らず待ちます。
休眠か枯れか|幹の硬さと重さで見分ける
葉のない株は、休眠でも枯れていても見た目が似ています。見分けの決め手は、葉ではなく幹と塊根です。
| 確かめるところ | 休眠中 | 傷んでいる・枯れている |
|---|---|---|
| 幹・塊根を押したとき | 硬い。浅いしわがあっても弾力がある | 柔らかい、ぶよつく、指が沈む |
| 鉢ごとの重さ | 乾いた鉢でも、株の重さは保たれている | 急に軽くなる(中身が抜けている) |
| 根元・肌の色 | 生育期と同じ色 | 黒ずむ、茶色く変色する、においがある |
| 枝先 | 硬く、しなりがある | 先から乾いて縮み、触ると折れる |
| 季節 | 夏型なら秋〜冬、冬型なら初夏〜夏 | 生育期のさなかに葉が落ちた |
幹を押して硬く、季節も合っていれば、まず休眠です。水は足さずに待ちます。反対に、柔らかい・黒ずむ・においがある場合は根や幹が傷んでいるおそれがあるので、水を止めて鉢から抜き、根を確かめます。傷んだ部分の見分け方と手当ては、パキポディウムが腐る原因と見分け方やアデニウムの幹がぶよぶよ、亀甲竜が枯れる原因にまとめています。
春になってもなかなか芽が出ないときも、幹が硬いうちは生きています。輸入されたばかりの根のない株は、休眠明けの動きがとくに遅く、根を出させるところから始まります。その場合は塊根植物の発根管理の手順が合います。
球形のユーフォルビアも、葉を持たないぶん休眠が見えにくい仲間です。肌のしわと気温で見極める方法はオベサの休眠と断水で扱っています。縁側では、オベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。
よくある質問
塊根植物の休眠期はいつですか?
夏型(パキポディウム、アデニウム、パキプスなど)は11〜3月ごろ、冬型(亀甲竜、チレコドン、オトンナなど)は6〜9月ごろが休眠期です。暦よりも気温で前後し、夏型は最低気温が15℃を切るころから、冬型は暑さが増す初夏から葉を落としはじめます。
休眠中は水を一切与えないほうがいいですか?
10〜15℃ほどの部屋で落葉している夏型なら、断水がいちばん安全です。15℃以上を保てて葉が残っている株や、小さな実生苗は、月1回ほど土の表面が湿る程度を与えて細い根を保ちます。冷える場所で土が湿ったままになるのが、休眠中にいちばん根を傷めます。
葉が全部落ちました。枯れていないか心配です。
幹や塊根を押して硬く、鉢ごとの重さが保たれていて、季節が休眠期に合っていれば、休眠です。柔らかい、ぶよつく、根元が黒ずむ、においがあるといった変化がなければ、水は足さずに芽が動くのを待ちます。
休眠させずに一年中育てることはできますか?
夏型の一部は、冬も15℃以上と十分な光があれば葉を残して育ち続けます。ただし日照の短い日本の冬では徒長しやすく、株によっては体力を使い続けることになります。迷うなら、自然に落葉させて休ませるほうが、翌年の芽吹きが揃います。
春になっても芽が出ません。水を与えて起こしたほうがいいですか?
幹が硬く重さが保たれているうちは、水で起こさずに待ちます。芽出しは株ごとに1か月ほどずれ、ステファニアや火星人のように遅い種類もあります。最低気温が15℃を超える日が続く暖かい場所に置き、芽が見えてから少量の水を始めます。