育て方

パキポディウム・ロスラーツムの育て方|置き場所と水やり、冬越しと花

木の縁側に置かれた素焼き鉢のパキポディウム・ロスラーツム。地際がふくらんだ灰緑色の短い幹が枝分かれし、とげのある枝の先に細長い葉が集まっている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ロスラーツムは、地際がずんぐりとふくらんだ幹が途中で枝分かれし、枝先に葉を集めて広げるパキポディウムです。春から秋に育って冬に葉を落とす夏型で、育つ季節はよく日に当てて鉢の中が乾いたらたっぷり、葉が落ちたら水を止めて10℃以上の明るい室内で春を待ちます。人気のグラキリスはこのロスラーツムの仲間で、育て方の骨組みは共通です。

パキポディウム・ロスラーツムは、地際がずんぐりとふくらんだ幹から、とげの並ぶ枝を何本かに分けて伸ばし、その先に細長い葉を集めて広げる種類です。春から初夏には枝先から花茎を立ち上げ、明るい黄色の花を咲かせます。丸い幹で知られるグラキリスは、このロスラーツムの仲間にあたります。育て方の骨組みはほかのパキポディウムと同じ「日に当てて、乾いたら水、冬は室内」で、この記事ではそれをロスラーツムの姿に合わせて、置き場所・水・冬・用土・花の順に並べます。属全体に共通する話はパキポディウムの育て方にまとめています。

ロスラーツムという株|ずんぐりした幹と、枝分かれする姿

学名は Pachypodium rosulatum。種小名の rosulatum は「ロゼット状の」という意味で、枝先に葉が放射状に集まってつく姿に由来します。名札では「ロスラツム」と表記されることもあります。マダガスカルの、雨の降る季節と乾く季節がはっきり分かれる地域に広く自生し、岩場や乾いた林のなかで育ちます。

姿の特徴は、次の3つにまとめられます。

  • 地際がふくらんだ、ずんぐりした幹:幹は根元が太く、とっくりのように少しすぼまりながら上へ伸びます。若いうちはとげが目立ち、年数がたつと幹の肌はなめらかな灰緑色になっていきます。
  • 幹の途中から枝分かれする:幹の上のほうで二股・三股に分かれ、とげの並ぶ円柱状の枝を何本か立てます。自生地では背丈を超える低木になることもありますが、鉢の中ではゆっくり育ち、手のひらから膝くらいの高さで楽しむことが多い植物です。
  • 枝先の葉と、黄色い花:葉は濃い緑の細長い形で、枝の先にまとまって開きます。花は葉より高く伸びた花茎の先に咲く黄色い花です。

ほかのパキポディウムとの位置づけはパキポディウムの種類で一覧にしています。

グラキリスとの関係|同じ種の仲間

よく並べて名前が挙がるグラキリスは、独立した種ではなく、ロスラーツムの中の亜種(資料によっては変種)として扱われます。マカイエンセやカクチペスも同じロスラーツムの仲間で、いずれも黄色い花を咲かせます。

見るところロスラーツムグラキリス
幹の形根元が太く、上へ伸びるずんぐりした幹球やとっくりのように丸く膨らむ幹
枝幹の途中で分かれ、円柱状の枝が立つ丸い幹の頂から短い枝が出る
株の印象枝ぶりのある低い木丸い幹が主役のオブジェ
花黄色黄色
育て方夏型・冬は落葉して休む夏型・冬は落葉して休む

ざっくり言えば、幹の丸さが際立つのがグラキリス、幹と枝の組み合わせで姿をつくるのがロスラーツムです。幼い苗のうちはどちらも似た姿をしているので、名札の学名で確かめておくと迷いません。亜種どうしの関係と、マカイエンセを含めた見分け方はマカイエンセとグラキリスの違いに、グラキリスに絞った育て方はグラキリスの育て方にまとめています。

置き場所と水やり|春から秋はよく当てて、乾いたらたっぷり

ロスラーツムは日差しの強い土地の出身で、育つ季節は光をたっぷり当てるほど、枝の詰まった締まった株になります。光が足りないと枝が細く間延びし、ずんぐりした幹とのつり合いが崩れていきます。

時期株の様子置き場所水やりの目安
4〜5月枝先の新芽が動く最低気温が15℃を超えたら屋外へ。半日陰から1〜2週間かけて日なたに慣らす新芽を確かめてから、表面が湿る程度で再開
6〜9月葉が茂り、いちばん育つ雨の当たらない、風通しのよい日なた鉢の中まで乾いたら、鉢底から流れるまでたっぷり
10〜11月下の葉から黄ばむ最低気温が15℃を切ったら室内の明るい窓辺へ2〜3週間おきに減らしていく
12〜3月落葉して休む10℃以上の明るい室内ほぼ断水

夏の暑さには比較的強く、真夏も日なたで育てられます。気をつけたいのは暑さそのものより、梅雨や長雨で鉢の中が乾かない状態が続くことです。雨の当たらない軒下や棚の上に置き、鉢のまわりに風が通るようにしておくと、根が傷みにくくなります。室内やベランダの奥で空気がこもりやすい場所なら、サーキュレーターで風を作るのも同じ目的です。

水やりは日付ではなく、葉が開いているかどうかと鉢の中が乾いたかどうかで決めます。葉が多いほど鉢の水は早く減り、葉が少なければほとんど減りません。乾き具合は、竹串を挿して抜いたときの湿り気か、鉢を持ち上げたときの軽さで確かめます。季節ごとの頻度の考え方はパキポディウムの水やりにまとめています。幹と枝に水を蓄えているので、迷ったときは一日待っても大きく傷むことはありません。

冬越し|落葉を見てから水を止める

秋が深まると、ロスラーツムは葉を黄ばませて落とし、幹と枝だけの姿で冬を越します。日付よりも株の合図の順で追うと迷いが減ります。

  1. 夜の最低気温が15℃を切りはじめる(10月ごろ):屋外の株を室内の明るい窓辺へ取り込みます。
  2. 葉が黄ばんで落ち始める:水やりの間隔を2〜3週間に伸ばします。
  3. 葉がほぼ落ちきる:ここで水を止めます。枝だけになるのが通常の休眠の姿です。
  4. 春に新芽が動く(4〜5月):最低気温が15℃を超え、枝先の動きを確かめてから、少量の水で再開します。

保つ温度は**最低10℃**が目安です。葉を落として乾かした状態なら5℃前後をしのぐ株もありますが、霜や凍結には耐えられません。窓ガラスのそばは夜に冷え込むので、寒い夜だけ窓から離すと安定します。暖房の温風が直接当たる場所も避けます。

冬の室内の明るい窓辺に置かれた素焼き鉢のロスラーツム。葉はすべて落ち、ふくらんだ灰緑色の幹から、とげの並ぶ枝が分かれて立っている 葉を落として、幹と枝だけで冬を越します。(AIで生成したイメージです)

冬のあいだに幹が少し痩せ、浅いしわが寄るのは正常な範囲です。幹を軽く押して硬ければ、そのまま春を待ちます。幹の小さい実生苗は蓄えている水が少ないため、成株のように止めきらず、月に1回ほど、暖かい日の午前中に表面が湿る程度を与えて越します。種類ごとの温度の目安は塊根植物の冬越しにまとめています。

用土と植え替え|春に、水はけのよい土で

植え替えは、休眠から覚めて新芽が動き、最低気温が安定して15℃を超える4〜6月に行います。頻度は2年に1回ほどが目安で、鉢底から根が出てきた、水が染み込みにくくなったといった変化が替えどきの合図です。

  • 用土は粒の粗いものを中心に:軽石や硬質赤玉土を多めにし、細かい土を少なくします。市販の多肉植物・サボテン用の土に軽石を足すだけでも水はけは大きく変わります。配合の考え方は用土の選び方にまとめています。
  • 鉢は通気がよく、倒れにくいもの:素焼き鉢やスリット鉢が合います。枝が増えると重心が上がるので、底の広い安定した鉢を選びます。
  • 根は崩しすぎない:数日前から水を止めて土を乾かし、古い土は軽く落とす程度にして、黒く傷んだ根だけを取り除きます。
  • 幹の下端が少し見える浅さで:ふくらんだ根元を埋めないほうが姿も引き立ち、株元も蒸れにくくなります。
  • 植えたあとは1週間ほど水を待つ:明るい日陰で休ませ、根の切り口が落ち着いてから少量で戻します。

手順の細かい流れはパキポディウムの植え替えに、幹が柔らかくなった・押すと沈むといった変化が出たときの見分け方はパキポディウムのトラブルにまとめています。枝が伸びすぎて形を整えたいときは、株がよく動く5〜7月に剪定で枝先を短くできます。

枝ぶりを楽しむ、近い仲間もホロンベンセもかつてロスラーツムの変種とされた種類で、低い幹から太い枝を広げ、長い花茎に黄色い花をまとめて咲かせます。
ホロンベンセの育て方を見る →

花の時期|枝先に咲く黄色い花

花は春から初夏、休眠明けに葉が開いて株が動き出すころに咲きます。枝先の葉の中心から細い花茎を葉より高く伸ばし、その先に明るい黄色の花を数輪ずつ開きます。花びらは5枚で、風車のように少しねじれながら平らに開くのが、パキポディウムに共通する形です。

パキポディウム・ロスラーツムの花。とげのある枝先に細長い葉が集まり、その中心から伸びた花茎の先に、明るい黄色の花が数輪咲いている 枝先から伸びた花茎に、黄色い花が咲きます。(AIで生成したイメージです)

花が上がるのは、ある程度育った株です。小さな苗のうちは葉ばかりで、しばらく咲かないこともあります。咲かせるうえで大切なのは、前の年の春から秋によく日に当てて株を充実させることと、冬にきちんと落葉させて休ませることの2つです。花茎が伸びてきたら、置き場所を大きく変えずにそのまま日なたで育てます。花が終わったら、花茎は根元から切り取ってかまいません。種類ごとの花の色や咲く時期はパキポディウムの花に、種を採ってまく流れはパキポディウムの実生にまとめています。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に扱っています。個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

ロスラーツムとグラキリスは別の植物ですか?

同じ種の仲間です。グラキリスはロスラーツム(Pachypodium rosulatum)の亜種、資料によっては変種として扱われます。育て方の骨組みは共通で、どちらも春から秋に育ち、冬に葉を落として休む夏型です。株が育つと、幹が丸く膨らむのがグラキリス、ずんぐりした幹から枝分かれして立つのがロスラーツムという違いが見えてきます。

秋に葉が全部落ちました。枯れたのでしょうか?

気温が下がる時期に葉が黄ばんで落ちたのなら、正常な休眠です。幹や枝が硬く、押しても沈まなければ生きています。水を止めて明るい室内で10℃以上を保ち、春に最低気温が15℃を超えて新芽が動いてから、少量ずつ水を戻します。押すと柔らかい、株元が黒ずむといった変化があるときだけ、鉢から抜いて根を確かめます。

花が咲きません。どうすれば咲きますか?

花が上がるのはある程度育った株で、小さな苗ではしばらく咲かないことがあります。成株で咲かない場合は、春から秋の日当たりが足りていないか、冬にしっかり休ませていないことが多いようです。育つ季節に屋外の日なたでよく光に当て、冬は落葉させて水を止めると、翌シーズンに花茎が上がりやすくなります。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

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