パキポディウムの耐寒性|種類別に何度まで?冬の最低温度の早見表

パキポディウムは寒さに強い植物ではなく、霜と凍結にはどの種類も耐えません。冬の最低温度は、グラキリスやラメリーなど多くの種類で10℃が目安です。南アフリカ産のビスピノーサム・スッキュレンタム・ナマクアナムはやや強く5〜10℃、マダガスカル北部のウィンゾリー・バロニー・アンボンゲンセは弱く15℃前後を保ちます。葉を落として土が乾いた株ほど低温に耐えるので、冬は水を止めて乾かしておくのが基本です。
パキポディウムの耐寒性は、多くの種類で最低10℃が目安です。ただ、同じパキポディウムでも出身地によって寒さへの強さに幅があり、南アフリカの乾いた土地の種類は5℃前後までしのぎ、マダガスカル北部の暖かい土地の種類は15℃を下回ると傷みやすくなります。この記事では、種類ごとの最低温度の早見表を先に置き、温度ごとに株に起きること、室内へ入れる時期、10℃を保てない部屋での工夫、冷えで傷んだときの見分け方を順にまとめました。春から秋を含めた1年の育て方はパキポディウムの育て方に、グラキリス1種に絞った冬の話はグラキリスの耐寒性にあります。
種類別の耐寒性|冬の最低温度の早見表
パキポディウムはマダガスカルと南アフリカに分かれて自生しています。冬の扱いを決めるのは、この出身地の違いです。手元の株がどこに入るかを先に確かめておくと、置き場所の温度を決めやすくなります。
| 種類 | 出身 | 冬の最低温度の目安 | 室内へ入れる目安 |
|---|---|---|---|
| ビスピノーサム・スッキュレンタム | 南アフリカ | 5〜10℃(乾いた株は5℃前後までしのぐ) | 最低気温10℃前後 |
| ナマクアナム(光堂) | 南アフリカ | 5℃を下回らない・できれば10℃前後 | 最低気温10℃を切るころ |
| グラキリス・ブレビカウレ | マダガスカル中南部の高原 | 10℃(5℃前後が下限) | 最低気温15℃を切るころ |
| ホロンベンセ・イノピナツム・デンシフローラム | マダガスカル中南部 | 10℃ | 最低気温15℃を切るころ |
| ラメリー・サウンデルシー | マダガスカル南部・アフリカ南東部 | 10℃(15℃以上なら葉を残すことも) | 最低気温10℃を下回る前 |
| ウィンゾリー・バロニー・アンボンゲンセ | マダガスカル北部 | 15℃前後(10℃を下回らせない) | 最低気温18℃を切るころ |
表の温度は「この温度を下回らない場所に置けば安心」という線です。下限ぎりぎりで冬を越すことを勧めるものではありません。迷ったら、10℃を保てる明るい室内に置けば、北部の3種類を除くほとんどの種類が無理なく冬を越せます。
「寒さにやや強い」とされる南アフリカの種類でも、霜に当てたり鉢の土を凍らせたりすれば傷みます。屋外やベランダでの冬越しは、日本の多くの地域ではどの種類にも向きません。
温度ごとに株に起きること|15℃・10℃・5℃・0℃
寒さによる傷みは、ある温度でいきなり起きるというより、温度が下がるほど少しずつ危うさが増していきます。多くの種類が入る「10℃が目安」のグループで見ると、次のようになります。
| 置き場所の最低温度 | 株の様子 | 水の扱い |
|---|---|---|
| 15℃以上 | ゆっくり動き続ける。ラメリーなどは葉を残すことがある | 葉が残っていれば月1回ほどの少量 |
| 10〜15℃ | 葉を落として休む。冬越しの標準的な状態 | ほぼ断水 |
| 5〜10℃ | 乾いた成株ならしのぐが、余裕は少ない。小さな苗や根の浅い株は傷みやすい | 完全に止める |
| 5℃未満 | 枝先や幹の一部が冷えで傷みはじめる。湿った土では根腐れにつながる | 止めたうえで、暖かい場所へ移す |
| 0℃前後・霜 | 組織が凍って傷む。どの種類も耐えない | — |
同じ温度でも、株の状態で耐えられる幅は変わります。寒さに弱くなるのは、次のような株です。
- 土が湿っている株:冷えた土に水が残ると、根が冷やされたまま水を吸えず、そこから傷みが広がります。寒さそのものより、この「冷えと湿りの重なり」が冬に株を傷める原因の多くを占めます。
- 小さな実生苗:幹が小さく、ため込んでいる水分も少ないぶん、成株より冷えの影響を受けやすくなります。完全に乾かしきると細い根が枯れるので、月1回ほど少量の水を続けます。
- 発根して最初の冬の株・未発根の株:根がまだ浅く、成株と同じ温度では心もとない状態です。10℃を下回らない場所に置きます。
夜にいちばん冷える時間の温度を測っておくと、置き場所を決めやすくなります(AIで生成したイメージです)
室内へ入れる時期と、冬の置き場所
室内へ入れる時期は、暦ではなく夜の最低気温で決めます。多くの種類は、最低気温が15℃を切りはじめる10月ごろが目安です。寒さに弱いウィンゾリーやバロニーは18℃を切るころと少し早めに、ラメリーやサウンデルシー、南アフリカの種類は10℃前後まで外の日に当ててから入れても間に合います。秋のうちに日によく当てておくと、幹が締まって冬の冷えにも強くなります。
室内に入れたあとの置き場所は、昼の明るさより夜にいちばん下がったときの温度で選びます。
- 窓ガラスのすぐそば:昼は明るい一方、夜は外気に近い温度まで冷えます。寒い夜だけ窓から離すか、厚手のカーテンの内側に移します。
- 床の上:冷えた空気は下にたまるので、床に直接置くより棚やテーブルの上のほうが数℃高くなります。
- 暖房の温風が当たる場所:急な温度差と乾きすぎで幹を傷めるので避けます。
置き場所の温度が分からないときは、最低温度が記録できる温度計を株のそばに置いて、明け方の温度を確かめておくと確かです。暖房を夜に切る家では、昼の室温と明け方の温度に10℃近い差が出ることもあります。
冬のあいだは、葉を落とした株なら水をほぼ止めて乾かしておきます。水を切っておくと株の中の水分が減り、低温にも強くなります。冬の水の与え方を種類ごとに見たいときはパキポディウムの水やりにまとめています。
10℃を保てない部屋での工夫
暖房を使わない部屋や、北向きの寒い部屋では、冬の夜に10℃を保つのが難しいこともあります。その場合は、次のような順で温度を補います。
- 水を完全に止めて乾かす:低めの温度でしのぐための前提です。土が乾いていれば、5〜10℃でも成株が傷むことは少なくなります。
- 夜だけ暖かい場所へ移す:昼は明るい窓辺、夜は部屋の内側や暖房のある部屋へと、鉢を動かすだけでも数℃の差が出ます。
- 段ボールや発泡スチロールの箱で囲う:寒波の夜は、鉢ごと箱に入れてふたを軽くかぶせると、明け方の冷え込みをやわらげられます。日中は箱から出して光に当てます。
- 植物用ヒーターや簡易温室で加温する:何鉢もある場合や、寒さに弱い北部の種類を育てる場合は、小さな温室とヒーターで温度を保つ方法が確実です。加温しない簡易温室は、明け方には外気に近い温度まで下がります。
どうしても10℃を保てない環境なら、南アフリカ産のビスピノーサムやスッキュレンタムのように、5〜10℃でも冬を越しやすい種類のほうが付き合いやすくなります。パキポディウム以外も含めた種類ごとの最低温度は塊根植物の冬越しで一覧にしています。
冷えで傷んだときのサインと、正常な休眠の見分け
冬に葉が落ちるのは、多くの種類にとって正常な休眠です。慌てて水を与えたり暖めすぎたりせず、幹の様子で見分けます。
| 様子 | 考えられること | 手当て |
|---|---|---|
| 葉が黄ばんで落ちる・幹は硬い | 正常な休眠 | そのまま。水は止めたまま春を待つ |
| 幹に浅いしわ・押すと硬い | 休眠中の水分の減り | 正常な範囲。水は戻さない |
| 枝先が黒ずむ・水が染みたように透ける | 冷えによる組織の傷み | 暖かい場所へ移し、乾いたまま様子を見る |
| 幹の下部が柔らかい・押すと沈む | 低温と湿りが重なった根腐れ | 鉢から抜いて根を確かめ、傷んだ部分を取り除く |
枝先だけが冷えで黒ずんだ場合は、すぐに切らず、春に新芽が動くまで待つと、生きている部分と枯れた部分の境目がはっきりします。心配なのは株元が柔らかくなるほうで、放っておくと上へ広がります。腐りの手当ての手順はパキポディウムのトラブルにまとめています。
春に外へ戻すのは、最低気温が安定して15℃を超えてからです。水も、枝先に新芽が見えてから少量ずつ戻すと、眠っている根を湿った土で冷やさずにすみます。
よくある質問
パキポディウムでいちばん寒さに強い種類はどれですか?
南アフリカ産のビスピノーサムやスッキュレンタムが、比較的寒さに強い部類です。土を乾かした株なら5℃前後までしのぐことが多いとされます。ただしそれは下限で、安心して冬を越すなら最低5〜10℃を保ちます。霜と凍結にはどの種類も耐えないので、屋外で冬を越せる種類はないと考えておくのが確かです。
グラキリスとラメリーは同じ温度で冬越しできますか?
どちらも最低10℃が目安なので、同じ部屋で冬を越せます。違うのは葉の扱いで、グラキリスは冬に葉を落として休むのに対し、ラメリーは15℃以上ある部屋では葉を残したまま育ち続けることがあります。葉が残っているあいだは、乾いてから少なめの水を月1〜2回与えます。グラキリスの冬の細かな温度の見方はグラキリスの耐寒性にまとめています。
一晩だけ5℃を下回ってしまいました。もう駄目でしょうか?
葉を落として土が乾いた成株なら、一晩の冷え込みで枯れることは多くありません。すぐに暖かい場所へ移し、水は与えずに様子を見ます。数日たっても幹が硬いままなら、そのまま春を待って大丈夫です。枝先が黒ずんでいれば春まで切らずに待ち、株元が柔らかくなっていれば鉢から抜いて根を確かめます。