育て方

パキポディウム・カクチペスの育て方|特徴と見分け方、水やり・冬越し

木の縁側に置かれた素焼き鉢のパキポディウム・カクチペス。丸くふくらんだ銀灰色の幹の上部から短く太い枝が数本伸び、枝先に濃い緑の細長い葉が集まっている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

カクチペスは、ロスラーツムの仲間に入るマダガスカル南部のパキポディウムで、下のほうにとげの少ない丸い幹と、葉裏の白い濃い緑の葉が目印です。春から秋に育って冬に葉を落とす夏型で、育つ季節はよく日に当てて鉢の中が乾いたら与え、冬は水を止めて10℃前後以上の室内で休ませます。花は葉が開く前、休眠明けのころに咲くのがほかの近縁種との大きな違いです。

パキポディウム・カクチペスは、丸くふくらんだ銀灰色の幹から短く太い枝を数本伸ばし、その先に濃い緑の葉を集めるパキポディウムです。幹の下のほうにはとげがほとんどなく、上のほうにだけ細いとげが並ぶため、同じ仲間のなかでもすっきりとした肌が目を引きます。育て方の骨組みは、ほかのパキポディウムと同じ「日に当てて、乾いたら水、冬は室内」です。この記事では、カクチペスならではの姿と見分け方を先に、置き場所・水やり・花と冬越し・植え替えの順に並べます。属全体に共通する話はパキポディウムの育て方にまとめています。

カクチペスという株|とげの少ない丸い幹と、葉裏の白い葉

学名は Pachypodium rosulatum subsp. cactipes。1895年に Pachypodium cactipes という独立の種として記載され、2004年の分類の見直しで、ロスラーツムの亜種として整理されました。グラキリスやマカイエンセも同じロスラーツムの亜種で、カクチペスはそのなかの「南の型」と紹介されることがあります。いまも資料や名札によっては「P. cactipes」の名前で並んでいます。

自生地はマダガスカル南部、南東端の町フォール・ドーファン(現トラニャロ)の北西あたりで、日当たりのよい片麻岩の岩場に育つとされています。

姿の特徴は、次の4つにまとめられます。

  • 丸くふくらんだ幹:根元から球に近い形にふくらみ、年数とともに銀灰色を帯びていきます。大きく育つと1mほどになると記録されています。
  • 幹の下のほうにとげが少ない:とげは株の上半分に集まり、赤みを帯びた細い針のような形です。若い株ほどとげが目立ちます。
  • 短く太い枝:最初の花を咲かせたころから、幹の上で短く太い枝に分かれていきます。
  • 葉裏の白い、つやのある葉:枝先に集まる葉は、表が濃い緑でつやがあり、裏は白っぽく、縁が裏側へ巻きます。

鉢に植えられたカクチペスの幹のアップ。根元から丸くふくらんだ銀灰色の幹はなめらかで、上部の枝にだけ赤みのある細いとげが並び、枝先につやのある濃い緑の葉がついている 下はなめらかで、上にだけとげが並ぶ幹のイメージ。(AIで生成したイメージです)

ほかのパキポディウムとの位置づけはパキポディウムの種類で一覧にしています。ロスラーツムの仲間全体の育て方はロスラーツムの育て方にまとめました。

ホロンベンセ・グラキリスとの違い|幹のとげと、花の時期

カクチペスは、ホロンベンセやグラキリスと同じく黄色い花を咲かせる背の低いパキポディウムで、苗のうちは見分けにくいことがあります。資料で挙げられている特徴を並べると、違いは次のようになります。

見るところカクチペスホロンベンセグラキリス
分類ロスラーツムの亜種独立した種ロスラーツムの亜種
幹球に近く、下のほうはとげが少ない地際がずんぐりした低い幹球やとっくりのように丸い
枝短く太い枝が上に集まる太めの枝が横にも広がる頂から細く短い枝
葉濃い緑でつやがあり、裏が白い細長い緑の葉細長い緑の葉
花の時期葉が開く前、休眠明けのころ葉が開いた春の終わり〜夏春〜初夏

いちばん手がかりになるのは、幹の下のほうにとげがあるかどうかと、葉の出る前に花が咲くかどうかです。ただし株の大きさや育った環境で姿は変わり、とくに小さな苗では決め手になりにくいため、迎えるときは名札の学名で確かめておくと安心です。ホロンベンセの姿と育て方はホロンベンセの育て方に、グラキリスとマカイエンセの見分け方はグラキリスとマカイエンセの違いにまとめています。

春から秋の置き場所と水やり|日に当てて、乾いたら与える

カクチペスは日差しの強い岩場の出身なので、育つ季節はよく日に当てるほど、幹が締まり枝の詰まった株になります。光が足りないと枝が細く間延びしやすくなります。

時期置き場所水やりの目安
4〜5月屋外の日なたへ。冬越し明けは半日陰から1〜2週間かけて慣らす新芽が動いたら、表面が湿る程度から再開
6〜9月雨の当たらない、風通しのよい日なた鉢の中まで乾いてから、鉢底から流れるまで
10月日なた。夜の最低気温が15℃を切ったら室内へ葉が黄ばみ始めたら間隔を伸ばす

水やりは、ほかのパキポディウムに比べて控えめを意識します。資料でも、育つ季節も水は控えめに、ただし長いあいだ完全に乾かしきらないように、とされています。鉢の中が乾いたのを確かめてから与え、乾ききらないうちに重ねないことが根を守る近道です。乾き具合は、竹串を挿して抜いたときの湿り気や、鉢を持ち上げたときの軽さで確かめます。確かめ方の手順は塊根植物の水やりにまとめています。

梅雨や秋の長雨に当て続けると、乾かない鉢の中で根が傷みます。雨の当たらない軒下や棚に置き、鉢のまわりに風が通るようにしておくと安心です。

実生の苗は、ほかのパキポディウムに比べて育ちがゆっくりだとされています。なかなか大きくならなくても、葉が開いて動いているあいだは同じ管理を続けて大丈夫です。

花の時期|葉の出る前に、長い花茎を立ち上げる

カクチペスの花は、葉が出る前の冬の終わりから春先に咲くと紹介されています。休眠明けのまだ葉のない枝先から長い花茎を立ち上げ、その先にカナリア色の花を開きます。花の筒は短く幅広で、外側は淡い黄色、内側は鮮やかな黄色です。葉が開いた株に花を咲かせるホロンベンセとは、ここが大きく違います。

葉のないカクチペスの株。丸い銀灰色の幹から伸びた短い枝の先に長い花茎が立ち、カナリア色の黄色い花がいくつも開いている 葉の出る前、枝先から長い花茎を伸ばして咲く姿のイメージ。(AIで生成したイメージです)

日本で育てる場合、花茎が見えるのは冬越しの終わりから春の植物が動き出すころです。まだ葉がないので、株は休眠から完全には覚めていません。花茎が伸びてきたら、明るい窓辺に置いたまま、暖かい日の午前中に表面が湿る程度の少量を与え、本格的な水やりは葉が開いてからにします。花が終わったら花茎は根元から切り取ってかまいません。花を咲かせる株の育て方はパキポディウムの花に、種を採って育てる流れはパキポディウムの実生にまとめています。

冬越し|葉が落ちたら水を止め、10℃前後以上で休ませる

秋が深まると、カクチペスは葉を黄ばませて落とし、幹と枝だけの姿で冬を越します。日付より株の合図の順で追うと迷いが減ります。

  1. 夜の最低気温が15℃を切りはじめる(10月ごろ):屋外の株を室内の明るい窓辺へ取り込みます。
  2. 葉が黄ばんで落ち始める:水やりの間隔を2〜3週間に伸ばします。
  3. 葉がほぼ落ちきる:断水に入ります。枝だけになるのが通常の休眠の姿です。
  4. 花茎や新芽が動く(2〜5月):花茎なら少量で様子を見て、葉が開いてから水を戻します。

カクチペスは寒さに弱い種類とされていて、冬は乾かした状態で10℃前後を保つのが目安です。土をしっかり乾かしておけば多少の冷え込みはしのぐとされますが、霜や凍結には耐えられません。窓ガラスのそばは夜に冷え込むので、寒い夜だけ窓から離すと安定します。暖房の温風が直接当たる場所も避けます。

幹の小さい実生苗は蓄えている水が少ないため、成株のように止めきらず、月に1回ほど、暖かい日の午前中に表面が湿る程度を与えて越します。種類ごとの温度の目安は塊根植物の冬越しにまとめています。

同じロスラーツムの仲間を見比べる枝分かれするロスラーツム、丸い幹のグラキリス。カクチペスと並べて、姿と育て方の違いを確かめられます。
ロスラーツムの育て方を見る →

用土と植え替え|春に、粒の粗い土で3年に1回ほど

植え替えは、休眠から覚めて新芽が動き始めた4〜6月に行います。花が咲いた株は、花が終わってからにします。

  • 用土は粒の粗いものを中心に:軽石や硬質赤玉土を多めにし、細かい土を少なくします。資料では、強い酸性に寄らない、粒の粗いサボテン向けの土が合うとされています。配合の考え方は用土の選び方にまとめています。
  • 鉢は通気のよいもの:素焼き鉢やスリット鉢が合います。丸い幹で重心が上にくるので、倒れにくい安定した鉢を選びます。鉢の選び方は鉢の選び方へ。
  • 間隔は3年に1回ほど:鉢底から根が出てきた、水が染み込みにくくなったといった変化が目安です。
  • とげに気をつける:幹を持つときは、新聞紙を何重かに巻いてからつかむと、手も幹も傷めずに扱えます。
  • 根は崩しすぎない:古い土は軽く落とす程度にし、黒く傷んだ根だけを取り除きます。植えたあとは数日から1週間ほど水を待ち、根の切り口が落ち着いてから与えます。

手順の細かい流れは塊根植物の植え替え時期に、幹が柔らかくなった・押すと沈むといった変化が出たときの見分け方はパキポディウムのトラブルにまとめています。

ふやし方は種からが中心です。挿し木は根が出にくいとされているため、株を殖やしたいときはパキポディウムの実生の流れが参考になります。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に扱っています。個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

カクチペスとホロンベンセは、どう見分ければよいですか?

育った株なら、幹の下のほうのとげと、花の時期が手がかりになります。カクチペスは丸い幹の下のほうにとげが少なく、花は葉の出る前の休眠明けに咲きます。ホロンベンセはずんぐりした低い幹から太めの枝が横にも広がり、花は葉が開いた春の終わりから夏に咲きます。苗のうちは似ているので、迎えるときは名札の学名で確かめておくと安心です。

「Pachypodium cactipes」と「rosulatum subsp. cactipes」は別の植物ですか?

同じ植物です。1895年に独立の種として記載された名前が *P. cactipes* で、2004年の分類の見直しでロスラーツムの亜種として整理された名前が *P. rosulatum* subsp. *cactipes* です。どちらの名前で売られていても、指している植物は変わりません。

葉がないのに花茎が伸びてきました。水をやってもよいですか?

カクチペスは葉の出る前に咲く種類なので、休眠明けに花茎だけが伸びるのは自然な姿です。株はまだ休眠から完全には覚めていないため、明るい場所に置いたまま、暖かい日の午前中に表面が湿る程度の少量にとどめます。たっぷり与えるのは、葉が開いて株が動き出してからにします。

なかなか大きくなりません。育て方が悪いのでしょうか?

カクチペスは、ほかのパキポディウムに比べて実生の苗の育ちがゆっくりだとされています。春から秋に葉が開いていて、幹が硬く張っていれば、順調に育っていると考えてよいでしょう。育つ季節によく日に当て、鉢の中が乾いてから水を与える管理を続けると、年ごとに幹が太っていきます。

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