塊根植物の人気の種類|よく名前を見るグループと特徴、はじめの一株に選ばれやすい理由

塊根植物でよく名前を見るのは、パキポディウム(グラキリス・ラメリーなど)、アデニウム、オペルクリカリア・パキプス、亀甲竜、火星人(フォッケア)、ステファニアのあたりです。科はばらばらでも、幹が膨らむか、根が膨らむか、夏に育つか冬に育つかで分けると整理しやすくなります。はじめの一株には、店頭で見かけることが多く、種から育った株が手に入りやすい種類が選ばれやすい傾向があります。
塊根植物(コーデックス)の売り場やイベントでは、グラキリス、パキプス、亀甲竜といった名前が繰り返し出てきます。ただ、同じ植物に和名・学名・愛称がいくつも付いていて、どれとどれが同じ仲間なのか分かりにくいのも、この世界の入口でつまずきやすいところです。この記事では、よく名前を見る種類を膨らむ場所と育つ季節でグループに分け、それぞれの特徴と、詳しい育て方の記事への道しるべをまとめました。塊根植物というくくりそのものや夏型・冬型の考え方は、塊根植物・コーデックス入門に書いています。
まず押さえたい6つ|よく名前を見る代表的な種類
売り場で見かける機会が多く、話題にのぼることも多いのが次の6つです。科も原産地もばらばらですが、どこが膨らむかといつ育つかの2点を見ると、性格の違いがつかめます。
| 種類 | 膨らむところ | 生育期 | よく名前を見る理由 |
|---|---|---|---|
| パキポディウム・グラキリス | 幹 | 夏型 | 丸く太った銀灰色の幹と黄色い花。和名は象牙宮 |
| アデニウム | 株元〜幹 | 夏型 | 壺のような株元と夏の花。流通量が多い |
| オペルクリカリア・パキプス | 幹 | 夏型 | ごつごつした樹皮と小さな葉。盆栽のような姿 |
| 亀甲竜 | 根 | 冬型 | 亀の甲羅のように割れる塊根。冬に葉を広げる |
| 火星人(フォッケア) | 根 | 夏型 | ユーモラスな名前と、寒さにも比較的強い性質 |
| ステファニア | 根(球) | 夏型 | 丸い球からつるが伸びる。強い直射を好まない |
幹が膨らむもの、根が膨らむもの、茎が球になるもの。同じ「塊根植物」でも膨らみ方が違います。(AIで生成したイメージです)
このあと、それぞれが属するグループごとに、ほかによく名前を見る種類を並べていきます。名前を知った種類から、気になる記事へ進んでください。
パキポディウムの仲間|グラキリスほか、種類の多いグループ
塊根植物のなかでもとくに名前の数が多いのが、マダガスカルと南部アフリカに分布するパキポディウムです。棘をまとった太い幹と、成長期に頂から出る細長い葉が共通点で、**幹の形(丸い・平たい・柱状・地中の芋)と花の色(黄・白・赤・桃)**で見分けると覚えやすくなります。種類ごとの見分け方はパキポディウムの種類に、共通の育て方はパキポディウムの育て方にまとめています。
丸く・平たく太る種類
- グラキリス:丸い幹から短い枝を広げる姿で、このグループの顔といえる種類。よく似たマカイエンセやホロンベンセとの違いはマカイエンセとグラキリスの違いで扱っています。
- 恵比寿笑い(ブレビカウレ):石のように平たく広がる幹に黄色い花。夏の蒸れが苦手です。
- デンシフローラム・ロスラーツム・カクチペス:黄色い花を咲かせる仲間で、幹の太り方や枝ぶりに違いがあります。
白い花・赤い花で知られる種類
- 白馬城(サンデルシー):白っぽい幹と白い花。太らせ方はパキポディウムの太らせ方でも中心に扱っています。
- エブレネウム・イノピナツム・アンボンゲンセ:白い花を咲かせるマダガスカルの種類。
- ウィンゾリー・バロニー:赤い花で知られる種類。花の色ごとの咲く時期はパキポディウムの花にまとめています。
柱状に伸びる種類・地中に芋をつくる種類
- ラメリー:棘のある幹がまっすぐ伸び、成長が早く流通量も多い種類です。
- 光堂(ナマクアナム):南アフリカ西部の乾いた土地の種類で、冬型寄りの季節の動き方をします。
- ビスピノーサム・サキュレンタム(天馬空):地中に芋のような塊根をつくる南アフリカの種類で、植え替えのときに塊根を土から出して見せる楽しみ方があります。
幹が太る木の仲間|アデニウム・パキプス・コミフォラなど
木の幹そのものが太り、盆栽のような姿に仕立てられるグループです。科はばらばらですが、多くは夏に葉を広げ、秋から冬に落葉して休みます。
- アデニウム:「砂漠のバラ」の名で知られ、壺のような株元と夏の花が特徴。原種と園芸品種の違いはアデニウムの種類に、株元を低く太くする方法はアラビカムを太らせるにまとめています。
- オペルクリカリア・パキプス:マダガスカルの木で、ごつごつした幹と細かな葉の取り合わせが盆栽のよう。成長はとてもゆっくりです。デカリーなど同じ属の種類はオペルクリカリアの種類で比べています。
- コミフォラ・モンストローサ・ボスウェリア・ネグレクタ:乳香・没薬の仲間にあたるカンラン科の木。樹皮の質感と枝ぶりを楽しむ種類です。同じ科のブルセラ・ファガロイデスや、ウルシ科のパキコルムスは、種から育てる楽しみ方でも名前を見ます。
- キフォステンマ:ブドウの仲間で、太い幹の表面の皮が薄くむけていきます。
- ヤトロファ・アデニア・グロボーサ・アデニア・グラウカ:緑色の幹や、棘のある枝を伸ばす個性の強い種類です。
- アローディア・ファシクラータ(フォークイエリア)・ドラセナ・ドラコ(竜血樹)・ウンカリーナ:背が伸びる木姿や、花や葉の美しさで選ばれることが多い種類です。
このグループは、原産地から輸入された「現地球」と、種から育てた「実生株」の両方が流通しています。現地球は根を切った状態で届くことが多く、迎えてから根を出させる工程が要ります。その流れは塊根植物の発根管理にまとめています。
根が膨らむ・つるが伸びる仲間|亀甲竜・火星人・ステファニア
幹ではなく根(地下の茎を含む)が膨らみ、そこから細いつるや葉を伸ばすグループです。膨らんだ部分を土の上に出して見せるか、半分埋めて育てるかで印象が変わります。
- 亀甲竜:亀の甲羅のように割れた塊根から、ハート形の葉をつけたつるが伸びます。南アフリカ産は冬に育つ冬型で、メキシコ産は夏に育つ性質です。違いは亀甲竜の種類とメキシコ亀甲竜にまとめています。
- 火星人(フォッケア・エデュリス):ごつごつした塊根からつるを伸ばします。塊根植物のなかでは寒さにも比較的強い部類です。
- ステファニア:東南アジアなどに分布し、丸い球からつるを伸ばして丸い葉を広げます。根の出ていない球で売られることが多いステファニア・エレクタがよく知られています。
- 蒼角殿(ボウィエア):緑色の丸い球根から、細いつるを伸ばす種類です。
- ブラキステルマ:平たい塊根から、星形の個性的な花を咲かせます。
- アリ植物:ヒドノフィツムやミルメコディアのように、膨らんだ茎の中にアリが住む空洞をつくる植物。塊根植物と並べて売られることがあります。
冬に育つ仲間と、多肉植物の棚と行き来する種類
冬型|夏に休み、秋から春に葉を出す
南アフリカ西部など、冬に雨が降る地域の種類は、日本では秋から春にかけて葉を出し、夏は葉を落として休みます。水やりの季節が夏型と逆になるので、一緒に育てるときは季節の切り替えを分けて考えます。
- チレコドン:万物想や阿房宮などがよく知られる、ごつごつした短い幹の種類。
- 塊根ペラルゴニウム:ゼラニウムの仲間で、太い幹や地中の芋から切れ込んだ葉を出します。
- オトンナ:ユーフォルビオイデスなど、トゲのように見える部分をもつキク科の種類。
- サルコカウロン:ろうのような皮に包まれた枝が特徴で、種から育てる方法でも名前を見ます。
夏型・冬型の休む時期と合図の違いは塊根植物の休眠にまとめています。
ユーフォルビアなど|多肉植物の棚にも並ぶ種類
塊根植物の棚と多肉植物の棚の両方に並ぶのが、ユーフォルビアの仲間です。茎が球や柱、松かさのような形になり、切ると白い樹液を出します。
- オベサ:和名は晃玉。葉のない緑の球体に縞模様が入る種類で、縁側が扱う植物でもあります。
- 飛竜(ステラータ):地中の太い根の上に、平たい枝を放射状に広げます。値段の目安は飛竜の価格にまとめています。
- モナデニウム:いまはユーフォルビア属に含められている、太い茎の種類です。
ほかに、クワ科のドルステニア(フォエチダやギガス)、小さな盆栽のように仕立てるトリコディアデマ(姫紅小松)、2枚の葉だけを伸ばし続ける奇想天外(ウェルウィッチア)も、塊根植物と並べて名前を見る種類です。ユーフォルビアの姿の幅はユーフォルビアの種類で一覧にしています。
縁側では、オベサと鉄甲丸の交配種「オベサ鉄甲」(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体を、1株ずつ姿を見て紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。
はじめの一株に選ばれやすい種類と、その理由
名前を知った種類のなかから最初の一株を選ぶとき、よく選ばれるのは店頭で見かけることが多く、種から育った小さめの株が手に入りやすい種類です。迎えた時点で根が張っていて、季節の管理も一般的な夏型の流れに沿うため、育て方の情報を集めやすいことも理由になっています。
| 種類 | 選ばれやすい理由 | 合う環境 |
|---|---|---|
| アデニウム | 流通量が多く、夏に花も楽しめる | 日当たりのよいベランダ、冬に10℃前後を保てる部屋 |
| パキポディウム・ラメリー | 成長が早く、変化が目に見える | 日当たりのよい屋外や窓辺 |
| 火星人(フォッケア) | 寒さに比較的強い | 冬の室内が少し冷える家 |
| ステファニア | 強い直射を好まない | 直射の入らない明るい窓辺 |
| 亀甲竜 | 実生の小苗が出回り、冬に緑を楽しめる | 冬に日の当たる窓辺 |
グラキリスやパキプスのように名前をよく見る種類でも、大きな現地球は根を出させる工程が要り、成長もゆっくりです。こうした種類は、実生株から始めるか、ほかの種類で季節の管理に慣れてから迎える人が多いようです。家の明るさと冬の温度から絞り込む手順は塊根植物の初心者におすすめの種類に、実生株と輸入株の違いは実生と輸入の違いにまとめています。
値段は、同じ種類でも大きさと、種から育った株か輸入された株かで大きく変わります。全体の傾向は塊根植物の相場に、種類ごとの目安はグラキリスの値段、パキプスの価格、亀甲竜の価格、ラメリーの値段、砂漠のバラ(アデニウム)の値段で扱っています。
よくある質問
同じ植物なのに、名前がいくつもあるのはなぜですか?
学名(ラテン語の名前)と、日本で付けられた和名や愛称が並んで使われているためです。たとえばパキポディウム・グラキリスは象牙宮、フォッケア・エデュリスは火星人、アデニウムは砂漠のバラ、ユーフォルビア・オベサは晃玉とも呼ばれます。売り場の札が和名で、育て方の情報が学名で書かれていることも多いので、両方を覚えておくと探しやすくなります。
夏型と冬型の種類を、同じ場所で一緒に育てられますか?
置き場所は同じでも構いませんが、水やりの季節が逆になります。夏型は春から秋に与えて冬は控え、冬型は秋から春に与えて夏は控えます。鉢に生育期を書いた札を立てておくと、季節の切り替えを取り違えにくくなります。休む時期の見分け方は塊根植物の休眠の記事にまとめています。
名前をよく見る種類は、どれも値段が高いのですか?
種類だけでは決まりません。同じ種類でも、種から数年の小苗と、原産地から輸入された大きな株とでは値段の幅が大きく違います。アデニウムやラメリーのように成長が早く流通量の多い種類は小苗が手に取りやすく、パキプスやグラキリスの大きな株のように育つまでに年数がかかるものほど高くなる傾向があります。
「現地球」と「実生株」は、どう違うのですか?
現地球は原産地で育った株を輸入したもの、実生株は種から育てたものです。現地球は年月を重ねた姿が魅力ですが、根を切った状態で届くことが多く、迎えてから根を出させる管理が要ります。実生株は根が張った状態で育っているので、迎えてすぐ季節どおりの管理に入れます。